持株会社が作られる理由 【 WEB金融新聞 】

WEB金融新聞〜HOME > 株価研究室 > 持株会社が作られる理由

持株会社が作られる理由

株式上場企業は「持株会社」という形式を取るケースが少なくありません。例えば、日本最大の証券会社である野村證券は、厳密には野村ホールディングスの子会社です。三大メガバンクの三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行や三井住友銀行も、それぞれグループ持ち株会社「〜ホールディングス」の子会社です。

持株会社の親となる企業、〜ホールディングスや〜グループは、収益事業はほぼ何も行わないので、親会社の収益は全て子会社が上げています。一見すると、実体のない「ペーパーカンパニー」と大差ありません。

このような持株会社という仕組みが取られる理由は何なのでしょうか?

リストラや事業の統廃合が行いやすい

持株会社が作られる理由として、経営の意志決定を円滑に行うため、などという説明がされるのが一般的です。分かりやすく説明すると、企業の意志決定権を親会社に委ねることで、事業の統廃合や社員のリストラを断行しやすくなるのです。

同じ会社内の命令系統で部署の廃止やリストラなどを行うと、社内に軋轢が生まれます。末端の平社員たちは上司をリスペクトできなくなりますし、リストラする側の上司も部下クビにするのは精神的に苦しみます。

しかし親会社の命令という形式を取れば、事業廃止もリストラも行いやすくなります。切られる側の社員も、会ったこともない親会社の命令なら、直属の上司を恨む訳にもいかず、社内に遺恨が残りにくいです。むしろ「親会社の酷い仕打ちに負けず、俺たちの会社は頑張っていこう」と団結力が高まる場合もあります。

買収・経営統合や事業売却も行いやすい

上記はグループ社内的な理由ですが、対外的にも持株会社にしておく方がメリットがあります。企業買収や事業売却などがスムーズに行いやすい事です。

他の会社を買収する際、吸収合併するには時間も手間もかかります。買収される側の企業には、クライアントや顧客への社名変更の告知、あるいは看板やら社員の名刺やら、色んなものを変更する必要があり、膨大なコストが掛かります。社名変更に伴い、手違いなど大小様々なトラブルも起こるでしょう。

ところが、持株会社を設けていて、その傘下に入る形式にすれば、買収される企業はそのままの社名で事業を継続でき、コストやトラブルはほとんど発生しません。同様に、事業の一部を売却する場合も、持株会社にしていれば様々な手間やコストを省略できます。持株会社だと企業買収や事業売却などが行いやすく、企業として機動力・汎用性が高いというメリットがあるのです。

 

就活では持株会社の平均年収に注意!

ここまでが、持株会社という仕組みが取られる『表向きの』理由です。実はもう一つ、持株会社には裏のメリットが存在します。親会社である「ホールディングス」だけ株式上場させておけば、対外的に会社を綺麗に見せたり、ブラック企業の実体を隠蔽するなど、一種のカンパニーロンダリングが可能になることです。

資料上の会社の見栄えを良くする「カンパニーロンダリング」

例えば、ライブドア・ホリエモンとの買収騒動で話題になったフジテレビは、現在フジメディアホールディングス【証券コード4676】の100%子会社です。そしてフジメディアホールディングスの平均年収は1506万円と、3000社以上ある上場企業の中でも第4位に相当する高給取りです。

一見するとフジテレビ社員は凄まじく給料が高いように思えます。就活する学生が「韓流ごり押しで視聴率暴落といわれても1500万円もあるのか・・・まだまだいけるやん!」とフジテレビを目指すかも知れません。

しかし公式サイトの会社概要をよく見ると、フジメディアホールディングスの従業員数は『(連結)6,125名(2015年3月31日現在)』となっています。実は前述の1500万円という平均年収は、フジメディアホールディングス単体の数値です。持株会社であるフジメディアホールディングス単体だと、従業員わずか36人です。少数の高給取りの幹部が鎮座しているだけの会社だから、平均年収が高いのです。

同様に、ドラクエシリーズで有名なゲーム会社・スクウェアエニックスホールディングスは、平均年収1900万円超とすさまじい金額ですが、従業員はたった16人となっています。これも持株会社のマジックであり、ドラクエが大ヒットしたから給与が高いのではなく、実際にゲームを作っている社員達はもっと安月給で働いているのです。日本テレビや野村證券など、同様の傾向を持つ上場企業は実は少なくありません。就活を行う学生の人は、資料に載っている見せかけの数値に騙されないよう注意すべきです。

会社四季報や各種経済雑誌で紹介される時は、持株会社の都合の良い数値だけが取り沙汰され、実際に業務を行っている子会社の実体は隠蔽されるのです。持株会社の少数の社員のせいで平均年収や生涯賃金を大きく見えているが、実務を行う子会社は安月給のブラック企業だった・・・なんて事もありえるのです。このような偽装・カンパニーロンダリングを行うことが、持株会社が作られる裏の理由だといえます。

 

    サイトメニュー
お金を稼ぐ
お金を貯める・増やす
 
 
お金を節約する
お金を借りる
保険の基礎知識
自動車とお金
お金の雑学(トリビア)
お金のコラム&用語集
趣旨&免責事項
   
HOMEへ戻る

WEB金融新聞 (C) 2013.BOM. All rights reserved.