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伊藤園の配当金が多い優先株【25935】のデメリット

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伊藤園【証券コード;2593】は、優待株として個人投資家に人気の銘柄です。しかし伊藤園には、株主優待はそのままで配当金が25%アップする「第一種優先株【証券コード;25935】」が存在することは、意外と知られていません。2007年9月に上場し、日本で唯一となる5桁の証券コードを持っており、検索サイトでもヒットしない事もあるレア銘柄です。

そして個人投資家が伊藤園の株を買うなら、優先株の方が圧倒的に有利です。

投稿執筆時(2019年1月末)、優先株の株価は通常株の半分程度の値段なので、配当+優待の利回りが通常株の約2.5倍と、コスパが抜群に良いのです。なぜ伊藤園の優先株が、割安で放置されているのか?何かデメリットがあるのか?分かりやすく説明してみます。

まず基本事項として、伊藤園の優先株の特徴は、配当金が通常株より25%多くなる代わりに、議決権が無いという事です。つまり優先株を持っていても、株主総会には出席できませんので、会社の大きな方針(取締役の信任等)に対して一票を投じたり、会社に意見を述べたりする事ができないのです。

伊藤園の第1種優先株【25935】の特徴
・通常株と同じ4月末に権利落ちとなる
・配当金が通常株より25%増える
・株主優待は通常株と同様のものが貰える
・デメリットは議決権がないこと

この議決権、個人投資家にとっては(影響力が弱すぎて)何の役にも立ちませんが、大金を投資する機関投資家(投資信託などの法人投資家)には、決して小さくないデメリットです。ですから、議決権のない伊藤園の優先株には、機関投資家はほとんど売買せず、保有者のほとんどが個人投資家だという特徴があります。経済学的に見れば、伊藤園の通常株と優先株の価格差が、議決権の価値だという事になります。

しかしこの価格差は、あくまで機関投資家の目線で見た場合です。個人投資家には、議決権など何の役にも立たないので、優先株を購入する事のデメリットはほぼありません。

★個人投資家が優先株を買う場合、デメリットは特に無い!

議決権を持つことの唯一のメリットは、TOB(買収合戦)が起きたり、会社の内部分裂による委任状争いなどが起きれば、株価が市場価格より高値で買い取って貰える可能性があることです。しかしTOBや会社の内部分裂が起きるのはレアケースなので、発生確率的には毎年の配当金25%アップに見合うだけの価値は無いです。

通常株との価格差が拡大傾向で、空売りも増えているが・・・

このように、個人投資家には特にデメリットが無いにもかかわらず、伊藤園の優先株は割安放置されています。通常株との価格を比較すると、2011年初頭には共に1000円程度の同水準でしたが、2015年以降は乖離が大きくなり、当稿執筆時(2019年1月下旬)では普通株が約4700円、優先株が約2300円と、2倍強の価格差があるのです。


※伊藤園の通常株(赤)と優先株(青)の価格乖離が広がる傾向。出典;ヤフーファイナンス

そして同時期に、伊藤園(通常株)の信用倍率は0.1倍を割り込んでいて、空売りしている資金がきわめて多い状態です。おそらく優先株との価格差が縮まる事を見越した裁定取引(優先株を買い・通常株を空売りする)だと思われますが、中々株価が下落する気配がありません。

実は昨年2018年も同様に、1月頃から通常株に大量の空売りが入っていましたが、たいして株価が下がることなく、4月末の権利落ちを迎えました。今年2019年がどうなっていくのかは分かりませんが、昨年も価格が乖離したままだったことを考えると、今年も同様に推移する可能性は高い(=空売りしても無意味)のでは無いでしょうか?

それどころか、伊藤園の通常株は統計上、毎年3月頃から4月末の権利落ち日に向かって、素直に値上がりしていきやすい傾向が強いです。通常株が優先株に比べて割高に見えますが、それは議決権の価値分であり、価格差が縮まる事は無いと思っておくべきです。

優待品や配当金が欲しい個人投資家は、空売りなどせず、素直に優先株を買っておくだけに留めるのが無難でしょう。ただし、2019年の4月は大型連休による大暴落リスクもあるので、注意が必要です(⇒2019年4月に株を買ってはいけない!10連休は暴落が危険!)。

ちなみに、この優先株という仕組みは、個人投資家には特にデメリットは無くコスパが抜群に良いので、欧米では広く普及しています。アメリカ市場では優先株ばかりに投資するETF()もあるくらいに有名な存在です。

この優先株ETF「iシェアーズ 米国優先株式 ETF【PFF】」は、大半が銀行や保険などの金融セクター銘柄が占めるので、かなり分配金の変動幅も大きいです。リーマンショックのような金融危機時には、減配リスクが高まり、価格が暴落しやすいので注意が必要です。

しかし日本では、この優先株を発行しているのは伊藤園ただ一社だけです。個人投資家にとっては、議決権などより配当金が増える方が遙かに有益なので、もっと優先株を発行する企業が増えて欲しいものですが、増加の兆しが皆無なのが残念です。

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