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JTは高配当株だが投資するのは危険!

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JT(日本たばこ産業【2914】)は近年、配当利回りが超高いことでSNSなどの口コミで話題です。2018年後半に株価が大きく下落したこともあり、当稿執筆時(2019年1月時点)の予想配当利回りは5.6%に達しています。

そして著名な長期投資家〜例えばwww9945氏などが、盛んにJT株を買い増ししていることをTwitterなどで公言している事も、個人投資家の判断を迷わせている要因です。「長期保有するつもりなら、今の株価水準は割安、絶好の仕込み時ではないのか?」と思うわけです。

しかし当サイトでは、配当利回りの高さに釣られてJT株を購入することは、はっきり言ってお勧めしません!理由は、JT株には減配リスクがある事、また世間の長期投資家が基本概念を間違えている事、という二つがあります。

まずJT株は本当に割安なのか?という問題です。

2018年水準の配当金(一株=150円)から、今後も増配していくのなら、確かに悪くない運用先かもしれません。しかし、将来に渡って利息が保証されている債券とは異なり、株の配当金というのは企業が好き勝手に増額・減額できるのです。業績が悪い状況が続けば、配当金も年々減っていくのが一般的です。

JTの配当予想「1株=150円」は、配当性向になおすと70%を超えており、極めて高い水準〜つまり余力がほとんど無い事を示しています。業績が悪化すれば、維持することはまず不可能だと考えられます。

特に日本企業は、アメリカ企業と比べて「減配」のリスクが非常に高い事で有名です。アメリカには、30年以上に渡って増配を続けている企業が沢山ありますし、据え置きはあっても減配したことがない企業なら、それこそ山のように存在します。

株主還元が渋いことで世界的に有名で、連続増配企業がごく僅かしかない日本企業は、配当金目当てに長期投資するには不適切で危険だと言わざるをえないです。

そして長期投資の対象としても、JTが良くないという点についてです。

JTの本業であるたばこ販売〜特に日本国内では、嫌煙が当然の社会と化してきているので、激減傾向です。それを補おうとして海外企業の買収を積極的に行っていますが、大抵が割高なディールだという口コミで溢れています。特に2016年に買収した、レイノルズ・アメリカンの米国外事業(約6000億円)は、専門家からも「大失敗の投資だ」という評判が多いです。

JTが近年買収した企業一覧
企業名 買収金額(約)
レイノルズ・アメリカン(米国) 2016年 6000億円
マイティー(フィリピン) 2017 1050億円
カリヤディビア・マハディカ
など2社(インドネシア)
2017 1100億円
ドンスコイ・タバック(ロシア) 2018 1900億円
アキジグループ(バングラディッシュ) 2018 1650億円

たばこ産業は本来、誰もが「世界的な禁煙志向で、縮小産業だ」とネガティブに感じます。この常識に異を唱えて評判となったのが、ジェレミー・シーゲルの著書「株式投資」です。

シーゲルは、タバコ企業であるフィリップモリスが、1957〜2003年の期間、S&P500指数銘柄の中で最も高いリターンを生んだというデータを示し、世間に衝撃を与えました。タバコ産業が、20世紀後半からずっと衰退産業だと見られていたにもかかわらず、実はタバコ企業は増益を続けていたので、配当再投資を繰り返していれば、市場平均を大幅に上回る利回りを記録できたというのです。

この常識外れの結果をシーゲルは「成長の罠」と名付けています。企業が成長を続ける限り、投資家からネガティブに見られて株価がさほど上がらずとも、大きな利益が期待できるという訳です。www9945氏など、タバコ株に夢中な長期投資家の多くが、このシーゲルの「成長の罠」理論を信仰しているのだと思われます。

しかしシーゲル理論で、JT株が長期的に投資家に利益をもたらすには、市場平均以上の増益を続けることと、投資家が配当再投資する事が不可欠です。フィリップモリスは上記の検証期間で、タバコ業界の逆風にもかかわらず、EPS成長率が14.75%とS&P500指数平均の倍近い数値を記録していました。

JTはタバコ需要の大きい新興国への展開を加速しています。上記の買収でも、ロシア・フィリピン・インドネシアなど、人口の多い新興国のタバコ企業を買収していますが、21世紀は新興国でも喫煙率は漸減していく事は確実視されます。JTが、過去のフィリップモリスのように市場平均を上回るEPS成長率を上げられるのかと問われると、相当に疑問が残ります。

ましてや前述のように、JTはアメリカ企業ほど配当金に拘ってはいないので、今後も増配を続けられるのかという点にも、やはり相当な疑問符がつきます。

JTは高配当株だが投資するのは危険!まとめ
・JTは高配当株なので強気な投資家の口コミが多い
・だが今後も増配や維持を出来るのかは大いに疑問が残る
・シーゲルの成長の罠も、企業の増益が大前提なのでハードルが高い

このように、単に配当利回りの高さだけに釣られてJT株に投資するのは、相当に危険な行為なのでお勧めしません。世界中のタバコ銘柄に投資しているwww9945氏も、上記ツイートにあるように「減配=即売りだ」と言っています。

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