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株価が景気より先行する理由

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一般論として「株価は景気に先行して動く」と言われます。各種景気指標が悪化する前に日経平均株価は下落基調となり、指標が上向く前に株価は上昇を始める・・・というものです。この俗説は、統計上も完全に正しいことが証明されています。

1980年以降の景気循環と日経平均株価の相関を調べると、平均して10.6ヶ月ほど株価の方が先に動くことが判明しています(ソース;株式投資宝典(松川行雄・著))。この「株価は景気に先行する」という傾向は、世界中で共通しています。例えばアメリカの株価(S&P500指数)も、景気指標より10.2ヶ月先行して動くとの統計です。

★株価は景気より10ヶ月ほど先行する

ということで、この株価は景気に先行する説は統計上その通りなのですが、理由については曖昧な解説が多いです。「投資家は他人より早く動いて出し抜こうとするからだ」などと説明されがちですが、イマイチ納得しにくいと感じている人も多いでしょう。

実は、株価の動きが景気より先行するのは、もっと単純明快な理由があるのです。株価が景気に先行するのではなく、株価が暴落するから景気が悪くなるのです。つまり・・・

株価(日経平均やNYダウ)が暴落
  ▼
投資家(富裕層)や企業が株で損をしてネガティブになる
  ▼
彼らがお金を使わなくなる
  ▼
世間の金回りが悪くなって景気が悪化する

というサイクルです。繰り返しますが「株価(投資家)が景気を先取りする」のではなく「株価が下がった事が原因で景気が悪化していく」という流れであり、因果関係が逆なのです。

★株価が暴落すると(マインドが冷え込み)景気が悪くなる

典型例が、2008年9月のリーマンショックです。その直前までの不動産市場の悪化(サブプライム問題)はありましたが、何とか景気は持ちこたえていました。それが9月15日のリーマンブラザーズ破綻、及び保険会社AIGの経営危機を発端に株価が暴落し、まだポジティブに考えていた投資家も耐えきれなくなり、売りが売りを呼ぶ歴史的大暴落となったのです。

この事が原因で、株を保有していた富裕層や企業が大きな損失を抱えました。企業は広告出稿と人材の新規採用を一気に絞り込み、富裕層は贅沢品を買わなくなって、世の中の金回りが急激に悪化しました。これが、実体経済の悪化に発展していったのです。

歴史の教科書にも載っている1929年の世界大恐慌も、日本の1990年代の土地バブル崩壊、2000年頃のITバブル崩壊も、全て株価の暴落が景気悪化の引き金となっているのです。

当然ながら、景気が上向く際のサイクルも同じで、日経平均株価が上昇して富裕層や企業の懐が肥えることで、消費が増えて景気が上向く〜という順番です。

半導体や海運は、景気に敏感(最も先行する)業種

ということで、今後も「株価は景気よりも先行して動く」という傾向は、未来永劫、永久不変の法則として続いていきます。我々のような個人投資家は、景気指標が悪化した事を知ってからでは遅いのです。

しかし、機関投資家に一般の個人投資家が情報の早さで勝つことは絶対に不可能です。従って個人投資家は、「株価は景気に先行する」という法則をさらに一歩進めて「頭と尻尾はくれてやれ」の精神で、超フライングで仕掛けるか、短期的な値動きを無視できる長期投資に徹するか、どちらかしか無いのです。


※ウォール街にある牛(ブル)のモニュメントは強気相場の象徴

この「株価は景気に先行する」中でも、業種によって反応の早さが異なります。最も景気に先行しやすい(真っ先に暴落する)のが、半導体関連産業です。東京エレクトロン【8035】やディスコ【6146】などがその代表です。次に反応が早いのが、海運(商船三井【9104】や川崎汽船【9107】)や工業用機械(ファナック【6954】やコマツ【6301】)、そして鉄鋼・非鉄金属などです。これらの先行業種は「シクリカル銘柄」と呼ばれます

これらに比べて、金融や不動産業などは反応が遅いです。生活必需品(花王【4452】やユニチャーム【8113】)や医薬品(武田薬品【4502】や沢井製薬【4555】)などは最も遅く、というより不景気でも株価の下落率が極めて小さい業種です。シクリカル銘柄の対比として「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれます。

※ただし、同じ医薬品業界でもバイオ株(サンバイオ【4592】やそーせい【4565】やペプチドリーム【4587】等)は例外で、景気に全く関係なく、需給だけで値が動く完全な投機銘柄なので注意!

ちなみに公的な経済指標の中で、景気の変動が最も早く現れるのが、内閣府が毎月第二週に発表する「景気ウォッチャー指数」の「先行き判断DI」です。「機械受注統計」や「鉱工業指数」なども、景気の先行きを見通す指標としてニュースで語られがちですが、景気ウォッチャー指数(先行き判断DI)と比較すれば4ヶ月〜半年ほど遅行する傾向があります。

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