HOME > お金を貯める・増やす > 日経平均株価に影響の大きな銘柄
日経平均株価は、日本人に最も有名な株価指数です。「株式市場が好調だ(or暴落した)」などと話題になる際、それは何か個別の企業でもTopix(東証株価指数)でもなく、日経平均株価の上昇(暴落)を指します。
日経平均株価は、別名「日経225」とも呼ばれ、日本を代表する225銘柄の平均株価を算出したものです。しかし、各企業の株価を単純に合算したものではありません。各企業が均等に225分の1の影響力を持つ訳ではなく、影響力の大きな銘柄とそうでない銘柄の差があるのです。
投稿執筆時(2017年6月)の日経平均株価の影響力(寄与度)の大きい企業トップ10は以下の通りです。
日経平均株価の影響力の大きい企業 | ||
銘柄 | 証券コード | 構成比率 |
ユニクロ(ファーストR) | 9983 | 7.03% |
ソフトバンク | 9984 | 5.21% |
ファナック | 6954 | 4.06% |
KDDI | 9433 | 3.49% |
東京エレクトロン | 8035 | 3.01% |
京セラ | 6971 | 2.46% |
ダイキン工業 | 6367 | 2.14% |
信越化学工業 | 4063 | 1.89% |
日東電工 | 6988 | 1.70% |
テルモ | 4543 | 1.68% |
(最下位) | ||
三菱自動車 | 7211 | 0.01% |
東京電力 | 9501 | 0.01% |
225社の平均株価と称するなら、本来なら単純平均で各社225分の1(0.44%)の比率であるべきでしょう。しかし実際には、何とユニクロ(正式名称・ファーストリテイディング)一社で日経平均株価の7%を占めています!しかもこの比率、近年はマシになった方であり、ユニクロの寄与度は10%を越えていた時期もあるのです。
ユニクロとソフトバンクとファナックの3社は、日経平均株価への影響力が強い「御三家」とも呼ばれます。この三社の寄与度は現在16%ですが、やはり酷い時期には20%を越えていました。
また日経平均株価が乱高下する理由で書いたように、このいびつな構成比率を突いて、ヘッジファンドなどの投機筋のオモチャにされている側面があります。日経平均株価が問題だらけの欠陥指数と言われ、世界ではTopixをメインで参照される理由は、この寄与度の偏りが原因です。
一方のTopixも、実は偏りがあります。TOPIXは東証株価指数=東証1部に上場する全ての銘柄(投稿作成時は2014社)の平均株価ですが、やはり各社が2千分の1の影響力ではありません。TOPIXの構成銘柄上位は以下の通りです(2017年6月時点)。
TOPIXに影響力の大きい企業 | ||
銘柄名 | 証券コード | 構成比率 |
トヨタ自動車 | 7203 | 3.28% |
三菱UFJ | 8306 | 2.37% |
NTT | 9432 | 1.69% |
ソフトバンク | 9984 | 1.68% |
三井住友 | 8316 | 1.46% |
ホンダ | 7267 | 1.30% |
KDDI | 9433 | 1.29% |
みずほ | 8411 | 1.22% |
ソニー | 6758 | 1.19% |
JT | 2914 | 1.03% |
このようにトヨタ自動車一社で3%以上を占めているわけですから、やはり均等ではなく偏りがあります。しかし、日経平均株価とTOPIXのトップ10を見比べると、どちらが「日本を代表する企業群」であるかは明白です。
トヨタ自動車は売上高約20兆円・営業利益が約2兆円という日本最大の企業です。三菱UFJも、日本ではトヨタに次いで2番目に営業利益が1兆円を超えた企業であり、日本最大の金融グループです。UFJ以外のメガバンク2社やNTT・ホンダ・ソニーなど、TOPIXの構成銘柄上位には日本を代表する巨大企業ばかりです。これらの大企業が構成銘柄上位に無く、代わりにファナックや信越化学工業や東京エレクトロンなど知名度も社会的影響も薄い企業が並ぶ日経平均株価は、いびつな指数だと言わざるを得ないでしょう。
TOPIXは「時価総額加重平均」という、市場で投じられている金額が大きな企業ほど影響力が大きくなる形式で、平均株価を算出しています。従って必然的に、トヨタやソニーやメガバンクなど、国を代表する巨大企業が構成銘柄上位に来る事になります。米国のS&P500、ドイツのDAX、英国のFTSE100など、先進国の平均株価のほとんどがこの時価総額加重平均で算出されています。
一方の日経平均株価は「みなし額面」と「除数」で修正するという、何だかよく分からない計算方法で平均株価を算出しています。投資アナリストでも、日経平均株価の計算方法が「不適切」「問題だらけだ」という批判の声が圧倒的に多いです。