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東京オリンピック後に株価は暴落するのか?

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有名掲示板やSNSなどを見ていると、投資家の中に「今の景気は東京オリンピックがあるからで、五輪が終われば株価は暴落するのでは?」という口コミをよく見かけます。確かに今のアベノミクス相場を牽引した材料の一つに、東京オリンピック開催が決まったことも挙げられるでしょう。一般の投資家が「オリンピックが相場の天井なのでは?」と心配する気も分かります。

しかし日経平均株価が2万円超えまで回復したことと、東京オリンピック開催は無関係であり、五輪後に暴落する予測は的外れです。投稿執筆時である2017年現在、相場の牽引役は主に・・・

・輸出銘柄
・インバウンド関連
・不動産株

の3つです。そしてこれらの事象に大きな影響を与えているのは、日銀が2016年1月よりマイナス金利政策を取っていることです。

日銀のマイナス金利政策の影響で、住宅ローン金利も史上最低を更新し、業界がこぞって「今こそ買い時だ」と煽ったことも後押しして猛烈な「不動産バブル」を巻き起こしました。ご存じのように、東京では昭和末期〜80年代後半を彷彿とさせる、猛烈な不動産バブルが起きています。

その証拠として、2016年には金融機関の不動産向け新規融資が5兆8943億円とバブル気を越えて過去最高に達し、また個人賃貸業への貸出残高(アパートローン)も9四半期連続で過去最高を更新しています。東京の勝どき・豊洲などの湾岸タワーマンションでは、1億円を超える「憶ション」が続出しており、惑う事なきすさまじいバブル状態です。

他にも金利低下の影響は1ドル=110円台まで円安を進め、自動車や家電などの輸出銘柄の利益を押し上げています。また円安による外国人観光客の増加=インバウンド特需も起きています。

一方で、東京オリンピックは輸出銘柄には一切関係ありません。インバウンドが増えていることも、東京オリンピックは2020年の話なので、完全に無関係です。

唯一、東京の不動産バブルだけが、オリンピック開催による影響を受けるジャンルです。建設業界が特需で人手不足になり、高層ビルから一般の住宅に至るまで、建設コストは増大しています。東京オリンピックが終われば、建設業界の人手不足が一段落するので、関連銘柄への影響が出る可能性があります。

しかしそれも、実は東京オリンピックの終了よりも、後述する金融庁や日銀の政策による影響の方が、遙かに大きいです。

マイナス金利解除や金融庁の不動産バブル潰しが危険材料

不動産バブルの原因は、2015年の相続税増税に対する節税策として、アパート建設が激増した事だとの口コミが多いです。確かに大東建宅やシノケンが、高齢地主をそそのかしたり、はたまた「資産運用として」一般人に区分マンション投資をすすめたりなどして、需要無視でマンション・アパート建設を加速させてきたことは事実です。また、バブルの口コミを嗅ぎつけた中国人富裕層が、湾岸マンションを投機対象として購入している事も大きいです。

しかし、アパート乱立や湾岸マンションバブルも、元を辿れば日銀のマイナス金利政策により、住宅ローン金利が史上最低に低下したことが、そもそもの原因です。住宅ローン金利がもっと高止まりしていたのなら、いくらオリンピック特需で需給が逼迫しても、ここまでのバブルは起きるはずが無いのです。

そして、マイナス金利はいつまでも続けられる政策ではありません。いずれ金利上昇局面は、必ず訪れます。その時は住宅ローン金利も跳ね上がるので、払えないで破綻する家庭が続出することは目に見えています。

さらに、金利上昇よりも恐ろしい事もあります。それが金融庁による不動産バブル潰しの切り札「総量規制」です。昭和末期のバブル景気は、1991年に公示地価がピークを打って一気に崩壊していきましたが、その引き金となったのは当時の大蔵省が行った不動産融資の総量規制でした。金融機関に対して、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える、等の規制を行った事で、融資が急激に縮小し、不動産バブルが強烈に弾けることになりました。

日本の「失われた20年」と呼ばれる平成不況は、間違いなくこの総量規制が引き金でした。

総量規制は、不動産だけでなく、金融業界全体に対しても強烈な引き締め効果を発揮します。銀行が不動産融資を絞り、貸し剥がしに走るので、財務基盤が脆弱な中小企業や無理に住宅ローンを組んだ一般人などは、破綻が続出します。

単なる金利上昇だと、銀行は不動産ローンの焦げ付きが増えても、金利上昇によって回収できる金額も増えるので、プラスの要素もあります。しかし総量規制は金利に関係なく、単純に不動産融資を絞る≒貸し倒れが急激に増える事を意味するので、銀行の経営を一方的に悪化させます。

91年の大失敗の前例があるため、金融庁も今回は不動産融資全体に規制を掛けず、例えばフラット35の新規融資に制限を掛けるなど、影響を見極めつつ徐々に規制していく可能性もあるでしょう。しかしいずれにせよ、不動産バブル潰しは景気を冷え込ませ、特に銀行の経営に大きなダメージを与える事は確実です。そして銀行の経営悪化は、一般向け融資の縮小や貸し剥がしを通じて、日本経済全体に悪影響を及ぼします。

東京オリンピック後に株価は暴落するのか?まとめ
・日本の株価(日経平均)と東京オリンピックは関連が薄い
・本当に危険なのは、マイナス金利による東京の不動産バブル
・日銀のマイナス金利解除や、金融庁のバブル潰しが、最大の懸念材料

総量規制による強制終了か、それとも金利上昇による自然消滅かは分かりませんが、東京の不動産バブルが近々崩壊することだけは間違いありません。実物資産がいつまでも値が上がり続けると、いずれは誰も買えなくなるので暴落するのは必然です。

我々個人投資家は、東京オリンピック後にどうなるのかを気にするのではなく、金融庁が不動産バブルをどう潰しにかかるのか?そのスタンスの方が何百倍も重要な、要注意事項です。備えるべきは、不動産バブルの崩壊です。

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