利上げで高ROE企業が危険な理由 【 WEB金融新聞 】

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利上げで高ROE企業が危険になる!

近年、日本では「ROE(株主資本利益率)」という数値がやたらと重視される風潮が高まっています。国の公的年金を運用するGPIFが、高ROE企業を運用で重視するよう変更したこと(※1)が主な原因です。マネー雑誌では、特定企業の株を紹介する際に、PERやPBRと並んでROEも併記する記述が激増しており、個人投資家の売買にも少なからず影響を与えています。

★計算方法; ROE=利益÷株主資本 (若しくは1株利益÷1株純資産)

しかし高ROE企業へ株式投資することは、実は大きなリスクを抱えており、特に日銀が利上げを行い、市中金利が上昇すれば、投資先として危険なケースもあるので注意が必要です。なぜROEが高いと危険なのか、理由を説明してみます。

ROEが高い企業には、大きく分けて二つのタイプがあり、一つは単純に利益率の良い企業。これは文句なく優秀な投資先なので、問題ありません。危険なのはもう一つの、自己資本比率の低い企業というタイプです。

計算上、ROEは少ない株主資本(=自己資本)で利益を上げるほど、数値が高まります。50億円の自己資本で10億円の利益を上げていれば、ROEは20%ですから、図のA社とB社は同じになります。しかし、無借金で50億の自己資本であるA社と、200億円の負債(借金)と50億の自己資本のあるB社では、経営の安定性が異なるので、同じ投資対象として見ることは危険です。

※「自己資本」や「純資産」は、バランスシートの「資本金」と同義。

高ROE企業が金利上昇で危険な理由

B社は多額の借金をすることでバランスシートを拡大し、企業規模を膨らませて利益を上げている訳です。言わば、経営にレバレッジを掛けている訳です。

こういう企業は、日銀が利上げに向かえば、一気に経営が厳しくなる恐れがあります。中央銀行が利上げすれば、その国のあらゆる金利が釣られて上昇するので、B社が銀行から借り入れている金利も上がります。すると借金返済の負担が大きくなり、経営が圧迫されます。何らかのの要因で売上が落ち込めば、借入金の返済が苦しくなり、経営破綻に追い込まれる危険性も高まるのです。

 

ゼロ金利経済は異常〜FRBも日銀も利上げを行いたい

つまり高ROE企業(経営にレバレッジが掛かっているタイプの場合)は、順調な時は利益率を高めやすいですが、経営が行き詰まったり、国の経済全体が不況に陥った場合には、他の企業よりも経営危機に陥るスピードが速いというリスクを抱えているのです。

ROEは、借入金が多く自己資本比率が低い企業が高くなる、という性質を持っているのです。早い話が、自社株買いをして自己資本比率を下げれば、ROEは簡単に上げられます。しかし、自社株買いをしても企業の本質的価値が高まる訳でも、本業の利益率が高まる訳でもありません。単に見た目のROEの数値を高めるだけの偽装に過ぎないのです。

2015年秋現在、日米欧ともにゼロ金利が続いています。しかしアメリカのFRBは、世界経済の不安が後退すれば、すぐにでも利上げを行うとの姿勢です。米国利上げで円安ドル高が進行すれば、アベノミクスが加速して日本企業の利益が増加し、日銀が望む「インフレ率2%」も現実味を帯びてきます。

そうして日本の景気が回復すれば、日銀も徐々に利上げを行っていくことになります。ゼロ金利というのは経済学的に明らかに異常であり、資本主義経済を円滑に回すには、適度な金利が付くことが大前提です。そのような正常な経済情勢になれば、低金利を利用してバランスシートを拡大し、見せかけのROEを高めていた企業の経営が傾く恐れが高まるのです。

単純なROEの数値だけで投資先を判断すると、このような理由でリスクが高い訳です。お目当ての企業のROEが高くても、その数値が借り入れで経営にレバレッジを利かせただけの「偽の高ROE企業」ではないか、注意して分析すべきです。

 

※1;GPIFが運用のベンチマークに、ROEが指標の一つである「JPX日経400」を採用したため。

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